会社員経験が2度目の起業につながった
H&K社は、私にとって2度目の起業でした。1度目の起業は22歳のとき。しかし、28歳のときにイベント会社に勤めることになります。その理由は、自分のビジネスレベルの低さに危機感を抱いたためでした。私の親戚の多くは大企業勤めです。彼らのビジネスレベルの高さを感じ、これではいけないと思ったのです。
会社員時代の私の仕事は、イベントを顧客企業に売ること。ただ、実際にはイベントを開催する前に考えておかなければならない集客や、イベントで獲得した人をどう売上にナーチャリングすればいいのかといった、イベント周辺領域にまつわる質問が非常に多かったのです。こうした相談を受けるなかで、「これは仕事にできるな」と思うようになりました。そこで、2度目の起業に踏み切ったのです。
マーケティングを入口に企業のDX化を実施
当社の事業は「マーケティング支援」。ただ、その実態は企業のDXの推進事業です。あえてマーケティングと言っている理由は、世の中のDXの理解度の低さにあります。ある新聞によると、DX人材は9割も足りないとあります。つまり、「DXの会社です」と言ってしまうと、1割の人にしか理解されないビジネスになってしまう。対して、マーケティングは2010年ごろから企業側の理解が進んでいる。ですから、わかりやすいマーケティングを入口に据え、話を聞いていくなかで業務フローの課題解決の提案をし、DX化するやり方を採っています。最初の問い合わせでは「サイトを作ってほしい」といったものが多いです。
さまざまな取り組みを行ってきましたが、直近で大きな事業となっているのが、パソナグループと取り組む地方創生DX事業です。パソナは、2008年から兵庫県淡路島で人材誘致による独自の地方活性事業に取り組んでおり、レストランやホテル、レジャー施設など、さまざまな観光施設をオープンしています。そんなパソナの最初の問い合わせも、「取り組みを知ってもらうためのサイト作り」でした。
現地に場を持つ企業との地方創生DX
元々、地方創生×DXに興味がありました。しかし、地方創生DXはデジタルの力だけでは成し得ません。現地にやって来る人が増えることが地方創生につながるわけですから、現地に行く目的となる場所がなければ意味がない。そのため、すでに施設を持っているパソナとの取り組みは、非常に魅力的でした。たとえば、修学旅行先に淡路島を選んでもらうためには、旅行代理店や学校の先生に旅先として認知してもらう必要があります。教頭先生を親に持つメンバー曰く、旅先を決定するには、現場の先生が各候補地の資料を作る工程があるそうです。そこで、サイトに先生向けの資料を掲載。ダウンロードするだけで、手間なく淡路島を旅先の候補地として会議に出せるようにしました。現地で活動する企業が、自治体と我々のようなIT企業との間に入ることで、リアルとデジタルをいいあんばいで融合できます。現地の魅力をDXで広められるよう、今も施策の準備を進めています。
勝てるチームで上場とアジア進出を目指す
2022年12月、ランドマークタワーに新オフィスを設けました。現在8名の社員数にしては広いオフィスですが、今後3年間での増員を見越しての決断です。ベンチャー企業ではありますが、社員は比較的大人しめといいますか、大企業で働いていそうな落ち着いた雰囲気です。私はよく、自分をサッカーのクラブチームの監督、社員を選手に例えています。結果を出せばチームに残れ、試合にも出られますが、振るわなければ呼ばれなくなります。シビアですが、みんなに公平にチャンスの機会がある。年齢も社歴も関係ありません。私の役割は、限られた時間でマーケットを取れる勝てるチームにすること。そのために、配属先や誰と誰を組ませるべきなのかを日々考えています。結果、社員より上の立場にインターンがいるといったことも起こり得るのです。今の目標は、上場とシンガポール進出。そこから40歳ごろまでにはアジア市場にも出ていきたいです。それまでは全力で走り続けます。